《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
最後に心からの想いを
込めてそう言って、珪から
一歩体を引いた。




開いた距離。




その距離に言いようのない
切なさを感じながらも、
あたしはそれを振り切る
ように、さらに数歩後ずさる。




「ありがとう、珪。

本当に、感謝してる――」




伝えきれないほどの
“ありがとう”を胸に
抱え、あたしはクルリと
背を向け走り出した。




遠ざかる珪の気配に込み
上げてくる涙を、必死で
堪えながら――…。





       ***



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