《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
背中は本当に痛かったけど――


それで、あたし達の間に
あった少し重い空気は
完全に消し飛んだ。




あたしは仕返しと称して、
逃げる珪を河原を走り
回って追いかけた。


二人だけの鬼ごっこだ。




やがて疲れ果てて草むらに
座り込み……。




珪が『せっかくなら絵が
描きたかった』って言った
から、あたしのノートと
鉛筆を貸してあげる。




いつかと同じように
デッサンを始める珪を、
あたしは隣でジッと眺めてた。



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