《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「……………珪?」




驚いて珪の顔を見ると、
珪はさっきまでの笑顔が
嘘のような真剣な瞳で
あたしを見つめてる。




「ど、どうしたのよ、珪――」




問いかけたあたしの声を
さえぎって、珪は瞳と同じ
冗談っぽさのかけらもない
声で、こう言った。




「――最初に言ったのは、嘘だ」




「え…………?」




(……嘘? なんのこと?)




すぐに理解できない
あたしに、珪は続けて、




「昨日帰らなかったのは
――終電に乗り遅れた
からじゃない。

ホントは……。

ホントは、お前のことが
気になって、帰れなかった」



_
< 288 / 448 >

この作品をシェア

pagetop