《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
曖昧なあたしの態度が
不審に映ったのか、珪は
問い詰めるように言葉を
重ねてきた。




「紗耶も兄さんのこと、
“大切なたった一人の
兄貴だ”って言ってただろ?

だからオレ、血は繋がって
なくても、お前らは本当の
兄妹となんら変わんねー
いい兄妹なんだって思ってた。


お前はいい家族に包まれて
幸せなんだって、思って
たんだけど――…」




珪はそこで一度言葉を
切って、改めてあたしを見た。




そして、心の奥まで
見通そうとするような
まっすぐな眼差しで尋ねる。



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