《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
(わかってる。

だけど珪――お願い
だから、その先はもう
聞かないで)




あたしは心の中でそう
となえて、珪の瞳を正面
から見つめた。




そして――珪の言葉の
続きを奪うように、彼の
唇に自分の唇を重ねる。




「っ…………!?」




珪が体を強張らせて息を
のむのが、唇から伝わってきた。




唇を重ねるだけの長い
キスの後、あたしはそっと
唇を離し、




「あなたの記憶の中で、
あたしが幸せそうに輝いて
たんだったら。

お願い、珪。

そのあたしを、忘れないで。

そのあたしだけを、
覚えてて――…」



_
< 302 / 448 >

この作品をシェア

pagetop