《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜

螺旋

       ***



帰宅した時、家にいるのは
お兄ちゃんだけだった。




「遅かったじゃないか、紗耶。

母さんもう出かけちゃったよ」




「あ、ウン……ゴメンね。

それじゃ、ご飯にしよっか――」




ママが用意していって
くれた料理を温め直して、
二人での夕食。




そんないつもの日常を
繰り返すべく、あたしは
急いで台所に入りラップの
かかったお皿に手を
伸ばそうとする。




だけどその時、真後ろに
お兄ちゃんの気配を感じて
あたしは動きを止めた。



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