《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
それなのに、どうして?




どうしてお兄ちゃんには、
見抜かれてしまうのか。




「前にも言ったろう。

草の匂いがするって」




あたしに覆い被さるように
して、低い声を放つお兄ちゃん。




あたしはテーブルと
お兄ちゃんの体に挟まれて
身動きすらできない。




お兄ちゃんが作った
檻から、逃げられない……。




(草の匂いなんて……
やっぱり信じられない)




たしかに長い時間草むらに
いたけど、体に残るような
匂いとは思えない。



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