《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
……わかってる。



あたし達が『普通の兄妹』
なんかじゃないことくらい。




だけどそれでも――
少なくともこの場所では、
あたし達はごく普通の
兄妹だった。




ママと3人で食卓を囲む
時はもちろん、二人きりの
時だってTVを見ながら
他愛ない話をして……。


まぎれもなくその瞬間は、
あたし達はただの『兄』と
『妹』だったんだ。




あたしにはその時間が――

あたし達が兄妹でいる
時間が、何よりも大切で。




お兄ちゃんが『おいで』と
誘えば壊れてしまう時間
だってわかってても、
それでもやっぱり、
かけがえがなくて――。



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