《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
       ***




(また、
帰りそびれちまったな……)




心の中でそう呟きながら、
珪はすっかり日の暮れた
川原にポツンと一人座っていた。




夜になってしまえば街灯の
下以外は本当に暗く、
都会育ちの珪には、男で
あっても少し心細くなるほどだ。




黒々とした水が流れる音を
聞きながら、珪はほんの
少し前のここでの出来事を
思い返す。




(紗耶……。なんで――…)




結局紗耶は最後まで真実を
語ることなく、珪のもとを
去って行った。



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