《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
もちろんそんな道理なんてない。




紗耶がそれを求めていない
こともわかっている。




だけどそれでもやっぱり、
今のままでは帰れない――…。




「――――――!」




静かな決意を胸に、珪は
立ち上がった。




目の前を流れる黒い水は
急げ急げとせき立てる
ように、低い水音と共に
時々キラリと光る。




その底の見えない暗さに、
かすかな悪寒を感じさえした。





――この先どうなるのか。




そんなことは、自分にも
見えない。



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