《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「お兄ちゃん――…!」




わかってる。


お兄ちゃんの言ってる
ことは事実だ。




だけどそれでも、真実じゃない。




(本当にそれを求めて、
受け入れてたんじゃない。

あたしはただ……ただ、
お兄ちゃんを失いたく
なくて……!!)




「紗耶―――…」




あたしの名をつぶやいたのは珪。




声にならないあたしの
叫びは、通じたんだろうか。




――わからない。




もはや涙で視界はおぼろげ
で、珪の表情すらちゃんと
見えてはいなかった。



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