《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「おに……ちゃん?」




あたしの足元に丸まってる
黒い背中。




それは――お兄ちゃんが
よく着てる、黒のカットソーだ。




髪も、ズボンも、全体の
シルエットも。




それは見間違えるはず
なんてないほど、いつもの
お兄ちゃんの姿――…。




「……よか……た……。

間に合ったな……」




荒い呼吸と共に、うめきに
近い声がお兄ちゃんから
吐き出された時。




ようやくすべてを理解した
あたしは、音にならない
絶叫をあげてお兄ちゃんに
とりすがった。



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