《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
そうすると、あたしは
宮原さんに完全に背中を
見せる状態になる。




けどもう、そんなの
どうでもいいと思った。




こんな結末を、あたしは
望んでなんかいない。




お兄ちゃんが傷を負って、
あたしだけが無傷で助かる
なんて――そんなのは、
いらない。




「どけ、紗耶……! 
危な……!!」




「いいの!

お願いお兄ちゃん、
しゃべらないで――!!」




お兄ちゃんが声を振り絞る
度、片手で押さえた脇腹に
紅い染みが広がってくのが
見える。




「お兄ちゃんが……、

お兄ちゃんが、死んじゃう
よ――…!!」



_
< 370 / 448 >

この作品をシェア

pagetop