《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
ハッとして振り返ると、
珪がもう一度目だけで
『行け』と言っていた。




「……そうね。

直杜がそう望んでるのなら
……行きなさい、紗耶」




ママも涙を拭い、懸命に
気丈な声でそう告げる。




「ママ……!」




あたしは二人の視線に
押されるように病室に
足を踏み入れた。




背後で扉が閉じられる音がする。




中央のベッドにさっきと
同じようにお兄ちゃんは
横たわってた。




だけどあたしの足音が
近づくと、首だけが
ゆっくりとこっちを向く。




「紗耶………」



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