《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
言ってるだけで、もう
目頭が熱くなってくる。




お兄ちゃんはあたしに
手を伸ばそうとし……
だけど手の自由がきかない
ことに気づいて切なげに
眉をひそめて、




「泣かなくていい。

僕は、紗耶を守れて嬉しい
くらいなんだから。

あの時……本当に、間に
合ってよかった……」




「よくないよ!

あたしのせいで、お兄ちゃんが!

お兄ちゃんにもしもの
ことがあったら、あたし……!!」




『あたしだけ生きて
たって、意味がないよ』




そう言おうとした言葉を、
お兄ちゃんがさえぎった。



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