《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
その態度はあたしには
不思議に思えたけれど、
お兄ちゃんは気にする
様子もなく次の言葉を続けた。




「色々と紗耶を支えて
くれてありがとう。

これからも紗耶を――
妹を、よろしく頼むよ」




「直杜さん………」




珪はそれ以上何も言わなかった。




会話の途切れたのを見て、
先生が『では……』と口を
挟んで、面会の終わりを伝える。




あたしは後ろ髪をひかれる
思いだったけれど、機材や
薬品を持って入ってきた
看護師さんにせき立て
られて、渋々病室を出た。



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