《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
色んなことに向き合うのが
怖くて。




――あたしはここに、一人
では来れなかったんだ。




「帰ろうよ、珪。

あたしもうここには――」




珪の手を振りほどこうとする。




だけど珪はよりいっそう
しっかりあたしの手を握って、




「ダメだ。

お前な……いつまで
ふさぎ込んでんだよ。

そんなことしてて兄さんが
喜ぶと思ってんのか?」




「なっ………」




頬がカッと熱くなる。




「わ、わかったようなこと
言わないでよっ。

そんな青春ドラマみたいな
綺麗事、聞きたくない!

そんなこと言うために、
わざわざここまで連れて
来たの!?」



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