《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜

       ***



冬の初め。




その日家に戻ると、
お兄ちゃんの祭壇の前で
ママがペタンと座って
何かしてた。




「ん? 何飲んでるの?

――ココア?」




ママの手の中と……それと
祭壇にも、白い湯気を
立てるマグカップ。


部屋には甘いカカオの
香りがほんのりと漂ってる。




「うん、そう。

直杜、寒くなり出すと
よく欲しがったじゃない?

今夜は少し冷えるから、ね」




「あぁ、そうだったね……」




甘い物は基本嫌いな
お兄ちゃんだけど、ココア
だけはたしかに好きだった。



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