《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
ママの言葉がよく理解
できなかった。




お兄ちゃんがいなくなって
からママに真相を告げる
ことに、なんの意味があるのか。




それに事実を聞いても
こんなふうに言えるママの
心境も、わからない。





「さすがに最初はショック
で、紗耶にも何も言えなかった。

だけど最近になって
ようやく、少しは気持ちの
整理ができてきたわ」




ママは独り言のように
そう言って、カップを
テーブルに置く。




そして空いた手をそっと
あたしのひざ頭に乗せて、




「ゴメンね、紗耶。

あたしは母親なのに、
あなた達の苦悩に気づいて
あげることができなかった……」



_
< 424 / 448 >

この作品をシェア

pagetop