《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「そう――…」




「あぁ。それと――…」




珪はそこで一瞬だけ躊躇
して口ごもる。




だけどすぐに、しっかりと
あたしの目を見て言った。




「オヤジは、今はもういない。

2年前に死んだんだ。肺ガンで」




「―――――!!」




激しい動揺が体を駆け巡る。




めまいを感じてよろめいた
あたしを、珪が優しく
抱き留めてくれた。




珪の胸に顔をうずめる
あたしの耳元で、いたわる
ような囁き声が語る。




「オヤジ――オフクロの
前では隠してたけど、
本当はずっと気にしてた。

自分の、大切なもう一人の
娘のこと。


自分の愚かさのせいで
彼女を幸せにはできな
かったけど、どこかで
幸せでいてほしい、って……」



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