《完》螺旋 ―*RASEN*― 〜禁断の迷路〜
「……………っ」




我慢できなくなって、
あたしは珪のシャツを
濡らしてしまう。




「だから、この町へ来たの?

あたしが幸せかどうかを
見届けるために」




顔だけをあげて問い
かけると、珪はゆっくりと
首を縦に振った。




「最初はそのつもりだった。

陰ながら確かめて、
オヤジの墓に報告して
やろうと思ってたんだ。


深くお前と関わる気も、
ましてや告白する気も
サラサラなかった。

だけど――…」




「………………?」




「お前にキスされた時に、
気づいたんだよ。

イヤ……ホントはそれより
もっと前から気づいてたの
かもしんねーけど、
本能的な家族愛だって
自分に言い聞かせてたんだ」



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