レモン白書~チャラ男との命がけの恋~
「幾、寒くない?」
「大丈夫だよ。 そんな事よりめっちゃテンション上がるな~」
幾がニッて口角を上げる。
久々に見る幾の表情。
この表情を見れただけで来てよかったって思ってしまう。
目の前をちらつく雪も、歩くたびに〝キュッキュ〟って音を鳴らす雪もすべての銀世界を瞳に焼き付ける。
「綺麗だね。」
「檸檬。」
「何? 」
「来てよかったな。」
「うん。 でもまだ感動するのは早いんじゃない?」
「そうだなっ 行こうか。」
「うん。」
真っ白な雪の上をふたりで歩く。
冷たい風が容赦なく吹きつけて、それでも前に進んだんだ。
繋いだ手の温もりだけを信じてた。