レモン白書~チャラ男との命がけの恋~
「檸檬、帰ろう。」
とびっきりの笑顔でわたしを待っていてくれる。
「うん。」
わたしは、彼に駆け寄る。
彼と手をつなぎ、いつものように帰るはずだった。
でも、わたしの手は早瀬君には届かなかった。
「幾、ちょっといいか?」
「へ――――。 学校では俺と話しするの嫌だったんじゃねぇの?」
「あぁ。 好きで話しかけてるわけじゃないさ。 」
わたしが早瀬君に駆け寄るのを制止したのは、田代君で……
でも、いつもの穏やかな田代君ではなくて。
向かい合うふたりの表情があまりに怖かったから。
その場を動けなくなる。