レモン白書~チャラ男との命がけの恋~
「なんて言ったの?」
「もういいって言ったんだよ。」
「何がいいの?」
わたしは、早瀬君の腕を掴もうと手を伸ばす。
「触んなっ!!」
その声は田代君に向けられてるものじゃなくてわたしに向けられていた。
「どうしちゃったの?? ねぇ早瀬君。」
「よかったじゃないか、檸檬。 両思いじゃん。」
「何言ってるの?」
「せいぜい、正也と仲良くな。」
早瀬君がわたしに背を向けていってしまう。
「わたしは、わたしのことはそれでいいの?」
「忘れてねぇか? 俺チャラ男だから……。」
彼の言葉がわたしの胸にナイフを突き刺すみたいな傷を残す。
わたしは動けなくなる。
その場に崩れて、立っていられない。
ひんやりと冷たい床の感覚が素足から伝わって夏が近いっていうのに体が震えた。