君の温もり

入学してもやっぱりあたしは一人。そのほうが落ち着くからあたしは誰とでも係わらない。

別に可笑しいって思われてもいいし、他に目を向けようとはしない。


「はぁ…」


誰も居ない屋上であたしはため息をつく。

ベンチに座って大空を見上げ澄み切った青空が何だか心地よく感じる。


入学してから屋上はあたしの居場所になってた。早々、1年のくせに屋上に住みつくのはどうかと思ったけど、一度心地よさを感じると辞められなくなってしまった。

屋上ってザワザワしてて人で溢れかえってる場所なんだと思ってたけど、実際来てみるとそうではなかった。

人ひとりとして居ない。静かな空間だった。

一人で寂しくない?って思うかもだけど、その楽さがあたしには快感だ。



「どいてくんね?」


不意に聞こえた声に視線をむけると、あからさまにこの学校じゃあ浮いているって感じの彼があたしを面倒くさそうに見下ろしてた。


「あ、ごめんなさい」


突然来た彼にビックリしたあたしは慌てて腰をあげ立ち上がる。

その立ちあがって数歩離れたあたしから彼はスっと視線を逸らせ、ベンチに腰を下ろす


クールな感じの彼。

着崩した制服に薄ら染めた茶色の髪。どう見ても高校生と思えない風貌に整った顔から目が離せなかった。

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