空に手が届きそうだ
「ちょっ待ってよ~。」
踏む度に、ジャリっと地面が鳴る。

(バイバイ、ありがと。)

入口で待ってくれてた二人の元へ駆け寄る。
「ごめん。」

遠かったハズの二人が今は、すぐ近くに居る。
それだけでよかった。
ちらほらと、会社へ行く人達とすれ違う。

「今、何時?」
風花の声に、優はブレザーから携帯を出して確認する。
「七時二十分。」
「オッケー。」
良子は、頭の中で流れを一通り整理する。

(半には着いて、撮影して……。うん、大丈夫。)

「優、多分時間忘れて撮ってるから時間また見といてくれる?」
「いいよ。」
いつもの事だし、と笑う。
「今日ってさ、昼間から準備?」
「うん。」

風花が、押しボタン式の歩道を押して、信号が変わるのを待つ。
「そっか。文化祭、明日明後日か。」

優は、頭の中でスケジュール帳を開くとそういえばそうだったと思う。
「優は、来る?」
「うん。バンドあるし行かないと、怜に怒られる。」
「ですよね~。優ちゃん、有志の発表楽しみにしてるからね~。」
いつもとは違う、甘ったるい声で、風花が言った。

「嫌味っすか?」
「実は、コレが地だったりして~。」

バシっと良子が風花の背中を叩いた。
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