空に手が届きそうだ
「ありがとう。」
急いで、カバンを持つ。
風花は、感情を込めていた為まだ戻ってこれないらしく複雑な顔をしている。
「大丈夫？」
そっと、背中をさすると小さく頷いて涙を静かに流した。
優の目を見て、何度も何度も頷く度に涙が溢れでる。

ぐっと、堪える事もなく上を向いてしっかりと気持ちを落ち着かせた。
「ありがとう。大丈夫。」

カバンを持って、来た道を戻る。

「とりあえず、着替えてきな。」
「うん。」
優にスク―ルバックを預けて道路の途中にある、公衆トイレに入った。
「あ～でも、楽しかったなぁ～。」

良子は、路地裏での撮影の余韻が残っているようで、少しテンションが高い。
「うん。楽しかった。」
「いつもごめんな。何か、付き合わせてしまって。」
「私が好きに来てるだけだから。」
ほんまに～？と言って、顔を除く。
うん。と頷くと、納得したように笑った。
「ごめん。お待たせ。」
すっかり、高校生らしくなった風花がトイレから出てきた。
「行こう。」

通勤ラッシュの時間帯。
すぐ隣を、数珠繋がりでノロノロと走る車に混じってバスやトラックの姿がある。

歩道も、通学中の学生や駅に向かう人達で賑わっている。

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