空に手が届きそうだ
ありきたりで寂しい学校
古びた校舎を見上げれば、見慣れた空にいつもの居場所。

複数の自転車がすれ違い様に、良子や風花におはようと言う人達が学校に飲み込まれて行く。

寂しい、と思った。

「大丈夫?」
小さく頷くと、言うと良子は少し不安そうな顔をした。
「無理したあかんよ?」
心配そうな二人に、大きく頷く。
「ありがとう。」
俯きそうな気持ちを押し殺して、ぐっと前を向く。

大嫌いな学校。
これを乗り越えないと、先に進めない。

楽しそうな二人の会話を聞きながら、体育館の前を通って昇降口へ行く。
ジャリっと砂の音がして、朝練をしている学生が横を通り過ぎた。
「そういえば優、今日教室行く?」
その言葉に、首を振る。
「そっか。」
良子は、寂しそうに視線を外す。
「ごめんね。」
「いいよ。また、メールして。」
「わかった。」

二人の会話を聞いて風花は、はみられた気持ちになる。

「ねぇ、私は?」
不安そうに、言ってみる。
「ねぇ、良子。風花どうする?」
風花は、お留守番に決まってるでしょ?と良子が言うと、けち―と頬を膨らませた。
その顔があまりにも可笑しくて、優が笑うと良子も釣られて笑ってしまった。

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