空に手が届きそうだ
頭に浮かべたカレンダーで、学校に来る日を数えてみる。

(あと、3日………。)

たった、それだけ。

「おぉ。揃いも揃ってどした?」
日下部が、手ぶらで事務室から出て来る。
「怜がさ、流ちゃんに部屋貸してくれって言ってなかった?」
「あぁ。忘れてた。」

そう言って、ポケットを探って鍵を出す。
「ん。あそこの、相談室の鍵。」
「ありがとう。」

優は、思い出したようにブレザーから少し重たい鍵を出して日下部に差し出す。

「閉めてきたか?」
「多分。」
「ちゃんと、閉めとけよ。仕事が増える。」
そう言いながらも、ポケットに入れた。

「流ちゃん、ありがとう。借りてくね」
そう言って、行こうと優を促す。
軽く頭を下げると、くるりと向きを変えて歩いた。

「あんまり変な事すんなよ。」
後ろから、ヤジが飛ぶ。
「俺、そんなに信用ないのかな?」
「どうだろうね」
純一郎は、ひらひら~と、手を振る。
振り向けば、苦笑いをしていた。

「ここか……。」
ガチャガチャと、鍵を入れて扉を開ける。
「けっこう、広いね。」
シンプルな作りの部屋には、大きな丸机が一つと三脚のイス。
他に、壁掛け時計があるだけで他には何も無い。
< 30 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop