空に手が届きそうだ
「今日は、深さんと?」
「うん。…………ちゃんと、喋ってくる。」
少し、自信の無い声に不安になる。
「ちゃんと、話せる?」
とん、と歩みを止めた。
「優?」
少し、震える体に純一郎は寄り添うように後ろで歩くのを止めた。

「もしかしたら、私振られちゃうかも。」
「優………。」
不安そうにする優に、二人はかける言葉が見つからない。
「……………。」
優は、不安と悲しさを隠すようにゆっくりと天を仰いだ。
「ごめんね、行こっか。」
まるで、自分に言い聞かせるように言うとせかせかと玄関に向かう。
その後ろ姿を、不安そうに良子達は追いかけた。

「遅い!!!!!!」
玄関の前で、待ちくたびれたように怜と風花はが座り込んでいた。
「ごめん」
優は勤めて明るく振る舞うが、少しだけそれに違和感がある感じがした。
(優……。)
怜が、彼女の前に行って手を広げるとキュッと抱きついた。
「怜……。」
よしよし、と慰めるように頭を撫でる。
ゆっくり、体を離すと頑張れと言った。
その言葉に、ゆっくり頷く。優は、こぼしかけた涙と、頬を流れた涙を一緒に指先で拭う。
「頑張るね、私。」
個々と目を合わせて、皆と頷きあった。
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