空に手が届きそうだ
――……
――…

朝と違う雰囲気の公園。
他の車の邪魔にならないように気をつけて降りる。
手を振ろうとしたが、遠く思い運転席まで回った。
「どした?」
軽く、窓が開けられる。
「二時間後に、迎えに来て」
「わかった。」
じゃあね、と手を振るとあとで、と言って行ってしまった。
「優っ!!!!!」
公園の入り口を見れば、私服の良子が居た。
「ごめんね、遅くなって」
「ううん。大丈夫。」
駆け寄って、並んで入った。
「学校、どうだった?」
「楽しかったよ。引きこもってたけど」
「そっか。」
「ってか、ごめんね。メールするって言ってたのに」
「いいよ。ちゃんと、出てきてくれたから。」
広くない公園の中、怜達を見つけるのは簡単だった。
「風花、怜」
大きく手を振ると、気づいたらしくこっちまで来てくれた。
「ごめんね、遅くなって」
「ううん。いいよ」
風花が、くしゃくしゃっと優の頭を撫でる。
「風花、メールありがとう。」
「ごめんね、明日行けなくて」
「ううん。」
ゆっくり、備え付けのベンチの方へ行く。
「優、オレンジ君がね心配してたよ。深さんの事。」
「何かあったの?」
怜が、不安そうに聞いた。
「引っ越しの、事。」
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