空に手が届きそうだ
「けっこう、厳しいんだね。」
「どの世界もそうだよ。」
変わらない、と思った。
「優は?どうするの?」
「私は、何も考えてない。只、空が好きだからなぁ。」
「天文学とか?」
「怜ちゃん、それ何?」
「良子は、カメラしか興味無いからね。」
「まぁね。将来は、写真家かカメラマン。」
「良子、」
「ん?」
「もし、モデルになってたら撮ってくれる?」
「うん。呼んでくれたら、きっと行く。」
「本当?」
「うん、約束。」
目の前で、交わされた約束。
「ねぇ、怜は?どうするの?」
「あたしは、洋服作りたい。」
「怜……。」
「なんか、みんな見てたら、あたしだけ置いてけぼりな感じがするの。風花は、モデルで良子はカメラで優は、芯があってしっかりしてて」
初めて聞く、怜の本音。
「夢は、無いけど今が一番楽しいからそれでいい。」
「うん、」
「そりゃ、勉強だってしたいし、おばあちゃんの手伝いとかもあるから毎日大変だけど、こうして四人で話しが出来る事ほど、あたしにとっては幸せな事は無いんだ。」
「毎日怜は、大変だからね。」
「そうでもないよ。楽しいんだから、毎日。」
くったくの無い笑顔が嬉しい。
「優は、どうするのこれから?」
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