空に手が届きそうだ
良子は、どこからどんな角度で撮ろうか、ぐるりと公園を見渡した。
「あそこにしよっ。」
良子は、指差した先に一目散に走ってアングルを探した。
「優、深さん待ってるんじゃない?」
「えっ?」
「顔に書いてあるんだから。」
「……ごめんね。」
そっと、風花の手を握った。
「ほら、早く行かないと怒られる。」
怜が、二人の背中を押してせかす。
「優、深さん居るよ。」
フェンスの向こう側、道路に見慣れた車が止まって居る。
「ねぇ、良子。わざとここにした?」
「もしかしてって思って。」
やっぱり、みんなは怖い。
「深さん呼んで来て。写真撮ってもらわなきゃ。」
「わかった。」
仕方なく、携帯を開けて深に電話をした。
「もしもし?」
『どした?』
「公園、来て欲しいの。」
ゆっくり、優しく聞いた。
『どした?』
機械越しじゃない、ような声が嬉しい。
「写真、撮ってほしいの。」
『わかった、すぐ行く。』
「入り口の方で待ってるから。」
電話を切ると、みんなが笑っていた。
「何、気持ち悪い。」
「幸せそうだなって思ってさ。」
「なんか、羨ましいな。」
「そんな事ないよ。」
と、聞き慣れない足音がした。
「行こう。」
「うん。」
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