空に手が届きそうだ
誰からともなく、公園の外に出た。
「今度、会う時はどんな風に変身してるか楽しみにしてるね。」
「もしかしたら、風花はトップモデルになってたりして。」
「良子、それは無いよ。それより、怜ちゃんがお母さんだったりする?」
「相手居ないから。もしかしたら、良子に彼氏だ出来てたりね。」
「それは、無い。」
すぐに、風花が突っ込んだ。
「それ、思う。」
「ちょ、優までひどい。あたしにだって、彼氏ぐらい出来るっての。」
何気ない会話が、とてつもなく楽しい。
「ねぇ、暗いし、帰ろ。」
名残惜しいが、怜の言うとおりだ。
「うん、じゃあね。」
優は、深の車がある方へ、良子達は良子の家がある方に
少しずつ、離れていく友に、大きく手を振った。
「良子、怜また学校でね。」
「うん、バイバイ」
「気をつけてね。寝坊しないように。」
「了解です。」
ぴっと敬礼をした。
「優、明日撮影終わったら連絡するね。」
「うん!!待ってるから」
バイバ~イと、手を振って背を向ける。
泣かないの、と堪えた涙が零れそうになりながらも歩いた。
「おかえり。」
「ただいま。」
ヘッドライトの付いた車の助手席を開けて深が立っていた。
ありがと、と体を滑り込ませた。
< 85 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop