空に手が届きそうだ
優しすぎて、怖い。
ねぇ、何か企んでたりする?
「なんにも……。」
振り向けば、冷蔵庫を開けていた。
「何にも、無いよ?」
「いいもん、みっけ。」
ラップした、お皿を取り出して冷蔵庫を閉めた。
「何、これ?」
部屋と、台所の境目にある小さな段差に座って子どものように聞いた。
「昨日の残り。」
辛うじて、布団が引けるようになった。
「いいよ、急がなくてこれ食べて待ってるから。」
「えっ、ちょっと」
ラップを、半分だけ剥がして食べようとする。
「ダメ、です。」
すっ、とお皿を取り上げた。
「優、」
「温めますから、待ってて下さい。

火は、通っているが万が一があるためもう一度ラップをした。
「お腹壊しても知りませんからね。」
仕方なく、一段上がって冷蔵庫の上にあるレンジに入れる。
タイマーを、セットしてスタートを押した。
「ちょっと、待ってて下さいね。」
「一緒に、待っててくれないの?」
「明日の、用意をしないといけないから」
優は、玄関横にあるクローゼットを開けて、一番下からダンボールを引っ張り出した。
「手伝う。」
「ありがとう。」
深は、ダンボールを優から預かって部屋に戻った。
少し、頼りになる背中。
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