好きだから…
本気
ある日彼が言ったのだ。
「実は…嫁とはうまくいってないんだ。」
信じられなかった。ずっと彼の奥さんになれたらどれだけ幸せなんだろうと思ってきたから。
「もう、一緒にいることさえも苦痛で家には安らげる場所もない」
と彼は言った。
私は少しうれしかった。
人の不幸を喜ぶなんて最低だけど、もしかしたら、私は彼と一緒になれるかもしれない。

彼も月に1〜2回は私の家にきてくれるようになった。
お互いに好きな気持ちは会う度に大きくなり、それはいつからか、『恋』から『愛』に変わっていった。
彼は離婚の話しも奥さんにに持ち出すようになった。
別居するようにもなった。
しかし、子供がいる。
奥さんは、子供のことを一番に考えて別れないと言ったようだった。
私はどこかで分かっていた。彼は奥さんの所に戻っていくと。でも、もう一方では、誰に隠れることもなく堂々と彼と付き合える日がくるかもしれないと思っていた。
いや、そんな日が来てほしかった。
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