袖口6つ
袖口
「辞めます…仕事…」

やっと新卒で就いた職も半年ももたずに退職
夢見たアパレル業界もノルマ…ノルマ…売り上げ…売り上げ…。

「足田さん、今だから言わせてもらうけど…。あなたのファッションには個性が強すぎるのよね~」

そう…
私は世間一般から見たらきっとチンドン屋

奇抜ファッション

人とかぶらない

エゴなファッションセンス


足田は原色だらけの古着の服に身を包み、オレンジゴールド黒の3色のヘアスタイルは限度を超えたコテコテファッション。正に今辞める店でも浮きまくり。雇った店も店だ。

「あ…はい…。それは…知ってますけど…はい…」
足田にはもうそんな言葉は嫌というほど聞いている。町を歩けば誰もが振り返り、バスに乗れば冷たい眼差し。
でも足田にとってはそれは不快には思っていなかった。

「じゃあ足田さん6月15日付けで退職ということで。あとは退職までとりあえず売り上げはしっかりとってよ」

そう、まだ私には一着分の袖口2つのファッションスタイルしかない時だった
< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop