三日月少年少女
そのサーカスはカフェ近くの駅から十分くらいのところにあった。ぼくらはカフェにパパを残しカボチャ少年の家だというサーカスに向っていた。
「その三日月サーカスはね、」
電車を降り改札を出るとまりあさんが話し始めた。
「昔は行列ができるほど大人気のサーカスだったの。でも、最近はあんまり名前を聞かなくなったわね……。たぶん、小さい頃、何回かハルちゃんのこと連れて行ってあげたことあると思うんだけどなぁ」
「えっ、そうなの?」
でも、そんなに有名なサーカスだったのに、何があったんだろう。そんなことを考えながらしばらく歩いていると、カボチャ少年が急に走り始めた。
そのとき、突如、目の前に煌々と明りがあふれたサーカステントが現れた。
空には三日月。
無数の星が舞い降りるように、電飾がキラキラと眩く光る。
入り口ではピエロの格好をしたサーカス団員がチケットを配っていて、子供たちはいまから始まるショーが待ちきれない様子で楽しそうな声をあげていた。ピエロはぼくらを見ると、チケットを渡してくれた。
三日月の形をしたそのチケットには、「ハロウィン限定★仮装をしたこどもは無料!」の文字が躍っていた。
ぼくらがラッキーだね、と言うと、ピエロはにっこり笑って展望台の席へと案内してくれた。観客席から空を仰ぐと、徐々に空が開いてゆくように天井が透明なガラス窓へと変わっていった。
「天空サーカスへようこそ!」
急にサーカステントの中央に照明が落とされた。眼をやると、サーカス団長だろうか、恰幅の良い立派な髭の男性が現れた。
「パパだ!」
突然、カボチャ少年が叫んだ。
それを聞いて、ぼくはやっと安心することができた。やっぱり、カボチャ少年はサーカスの子だったんだ。
サーカスが終わって少年を団長の所に連れて行ったら、この迷子騒動記もようやくおしまいか。
ぼくはそんなことを思って安心してしまったせいか、だんだんと眠りの森へ迷い込んでいってしまった。
「その三日月サーカスはね、」
電車を降り改札を出るとまりあさんが話し始めた。
「昔は行列ができるほど大人気のサーカスだったの。でも、最近はあんまり名前を聞かなくなったわね……。たぶん、小さい頃、何回かハルちゃんのこと連れて行ってあげたことあると思うんだけどなぁ」
「えっ、そうなの?」
でも、そんなに有名なサーカスだったのに、何があったんだろう。そんなことを考えながらしばらく歩いていると、カボチャ少年が急に走り始めた。
そのとき、突如、目の前に煌々と明りがあふれたサーカステントが現れた。
空には三日月。
無数の星が舞い降りるように、電飾がキラキラと眩く光る。
入り口ではピエロの格好をしたサーカス団員がチケットを配っていて、子供たちはいまから始まるショーが待ちきれない様子で楽しそうな声をあげていた。ピエロはぼくらを見ると、チケットを渡してくれた。
三日月の形をしたそのチケットには、「ハロウィン限定★仮装をしたこどもは無料!」の文字が躍っていた。
ぼくらがラッキーだね、と言うと、ピエロはにっこり笑って展望台の席へと案内してくれた。観客席から空を仰ぐと、徐々に空が開いてゆくように天井が透明なガラス窓へと変わっていった。
「天空サーカスへようこそ!」
急にサーカステントの中央に照明が落とされた。眼をやると、サーカス団長だろうか、恰幅の良い立派な髭の男性が現れた。
「パパだ!」
突然、カボチャ少年が叫んだ。
それを聞いて、ぼくはやっと安心することができた。やっぱり、カボチャ少年はサーカスの子だったんだ。
サーカスが終わって少年を団長の所に連れて行ったら、この迷子騒動記もようやくおしまいか。
ぼくはそんなことを思って安心してしまったせいか、だんだんと眠りの森へ迷い込んでいってしまった。