三日月少年少女
「ゆりあさんも今日はハロウィン仕様ですね」

「そうなの、いたずらしちゃうぞーってね」

 ゆりあさんはそう言うと、本当にいたずらっ子のような顔でにやにやしている。

「子供じゃなくてもお菓子くれました? それ以前に、<お菓子くれなきゃ>って最初に付け加えなきゃただの変質者ですよ」

「あたし、ここでバイトしてるけど、一応、学生さんなんだけどなぁ。しょっくー、まだ子供だと思ってたのに。それより変質者ってどうゆう意味よー!」

 そう言うと、ゆりあさんはぷりぷり怒りながら僕の髪の毛を手でくしゃくしゃにして「いたずらしちゃうんだからー」と遊び始めた。ここでゆりあさんの名誉のために言っておくと、ゆりあさんは経済を学ぶいたって真面目な大学生である。僕の家族とは親戚関係にあって、いとこにあたる。ちなみにゆりあさんは五つ子姉妹で五人全員が僕のパパのカフェでウエイトレスのバイトに駆り出されている。みんな性格が違うのだけれど、その中でゆりあさんと僕は一番仲が良い。

 ゆりあさんが面白がって僕の髪の毛をくしゃくしゃにしていると、たのしそうに見えたのか、カボチャ少年はきゃははと笑い始めた。さっき、不安で泣き出したところを見ていたので僕はすこしほっとした。
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