鏡の中の僕に、花束を・・・
4
恐怖の日々が始まった。
何も言わず、自分の部屋に戻った。何かをする気なんて起きない。母親は夜勤だから、この家にいるのは僕一人だ。一人だと、更にやるせない気持ちになる。ゲームもネットもする気は起きない。しかし、腹は減るらしい。
思い体を起こし、台所に向かった。
テーブルの上には、いつものようにラップにかかった夕食があった。代わり映えのしない料理だ。ため息をつきながらも、空腹には変えられない。それを電子レンジに入れた。
この時、必ずする事がある。手を洗う事だ。意識している訳ではない。子供の頃から続けていたせいで、やらないと落ち着いて食事が出来ないのだ。
洗面所の蛇口を捻る。冷たい水で手を洗いながら、目の前にある鏡を見た。そこに映る僕は、疲れ切った顔をしていた。
「はぁ・・・。」
自分の顔を見れば見るほど嫌になり、大きなため息をついた。
「ん?」
始めはわからなかった。けど、ジッと見ているうちに違和感がある事に気がついた。
「なんだ?」
鏡の所々が膨らんでいるよう見えた。その中の一カ所を、そっと指で撫でてみた。
「膨らんで・・・いる?」
確信は持てない。膨らみは僅かだ。
「本当に何なんだろう?」
特に膨らんでいる箇所を、しつこく撫でた。ちょうど、右手の辺りだ。僕は左利きだから、鏡の中での右手の方を触った。
撫でているうちに、どんどん膨らんできていると感じた。
「うわっ!」
頭が真っ白になった。
「は、放せ!」
僕の左手首が、鏡の中の僕に掴まれている。
「は、放せよ!」
鏡の中の僕、これは僕ではない。敵、そうとしか思えない。強く、強く、鏡の中へと迎え入れようとする。
掌はとても冷たく、掴まれている手首は痛いのか、冷たいのかわからなくなっていた。
ぐぐっ。奴は更に力を込めた。
何も言わず、自分の部屋に戻った。何かをする気なんて起きない。母親は夜勤だから、この家にいるのは僕一人だ。一人だと、更にやるせない気持ちになる。ゲームもネットもする気は起きない。しかし、腹は減るらしい。
思い体を起こし、台所に向かった。
テーブルの上には、いつものようにラップにかかった夕食があった。代わり映えのしない料理だ。ため息をつきながらも、空腹には変えられない。それを電子レンジに入れた。
この時、必ずする事がある。手を洗う事だ。意識している訳ではない。子供の頃から続けていたせいで、やらないと落ち着いて食事が出来ないのだ。
洗面所の蛇口を捻る。冷たい水で手を洗いながら、目の前にある鏡を見た。そこに映る僕は、疲れ切った顔をしていた。
「はぁ・・・。」
自分の顔を見れば見るほど嫌になり、大きなため息をついた。
「ん?」
始めはわからなかった。けど、ジッと見ているうちに違和感がある事に気がついた。
「なんだ?」
鏡の所々が膨らんでいるよう見えた。その中の一カ所を、そっと指で撫でてみた。
「膨らんで・・・いる?」
確信は持てない。膨らみは僅かだ。
「本当に何なんだろう?」
特に膨らんでいる箇所を、しつこく撫でた。ちょうど、右手の辺りだ。僕は左利きだから、鏡の中での右手の方を触った。
撫でているうちに、どんどん膨らんできていると感じた。
「うわっ!」
頭が真っ白になった。
「は、放せ!」
僕の左手首が、鏡の中の僕に掴まれている。
「は、放せよ!」
鏡の中の僕、これは僕ではない。敵、そうとしか思えない。強く、強く、鏡の中へと迎え入れようとする。
掌はとても冷たく、掴まれている手首は痛いのか、冷たいのかわからなくなっていた。
ぐぐっ。奴は更に力を込めた。