鏡の中の僕に、花束を・・・
「またまた~。冗談もほどほどにしろよ。今まで何年もこの家に住んでいるが、そんな事一度もなかったぞ。」
「でも、本当なんです。美園さんの足元見ませんでしたか?」
「そう言えばカップが落ちてたな。」
「あれ、勝手に落ちたんです。」
社長は体をブルっと震わせた。
「まさか、テーブルの端に置いてたんだろ?」
「違いますよ。美園さんが持って来てくれて、すぐに落ちたんです。わざわざテーブルの隅に置いたりしますか?」
「確かに・・・。」
しばらくの間、社長は黙っていた。それから、急に大きな声を出した。
「さぁ、仕事だ、仕事。」
よほど、怖いと感じたらしい。それ以上は何も言わなかった。
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