鏡の中の僕に、花束を・・・
「くそっ。いったいここはどこなんだよ?」
僕はまだ彼女を見つけられずにいた。苛ついても仕方ない。それはわかっている。しかし、ただのミラーハウスでこんなに苦労していたら、格好悪さに拍車がかかってしまう。
焦った。
「あれ、この感じ・・・さっきも来たような・・・。」
どうやら同じ所を、何度も通っているらしい。鏡に汚れがついている。この汚れを十分ほど前にも見た。だから、間違いない。
「あぁ、もう。」
思い切り鏡を叩いた。すると、わずかだが鏡の上に隙間が出来、そこから光が差し込んで来た。
「ん?」
なんとなくだが、あれを目印にすれば外に出れる気がした。光が示すその先へ、僕は歩き出した。

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