鏡の中の僕に、花束を・・・

「もちろんがんばったよ。でも、こう言うのも苦手みたい。だから、こうして鏡を叩いて、見て、あそこに隙間出来てるでしょ？あそこから漏れてくる光を目印にして、進んでいるんだ。」
「え？」
彼女は驚いた顔をした。
「どうかした？」
「だって、この音って、さっき一緒にいた時にも聞こえたよね？」
どうやら、さっき僕が鏡を叩いた時まで、奴は彼女といたらしい。しかし、目的はなんだ？僕を殺すのが目的じゃないのか？
あの日の記憶が蘇る。体が勝手に震えた。
「どうかした？」
「あ、ううん。なんでもないよ。ほら、さっき音が聞こえてきたでしょ。あれを参考に試してみたら、あの目印に気がついてさ。真似してみたんだ。」
「なんだ、そうだったんだ。」
急いだ方がいいだろう。ここで何かあれば、完全に奴の世界だ。僕の世界である自宅でさえ、あれだけ苦労したんだ。あの奇跡に近い勝利。ここでそれを得るのは難しい。
「じゃ、行こうか？」
手当り次第、鏡を叩く。そして進む。彼女に被害が及ばないように、それだけを考えながら進んだ。