鏡の中の僕に、花束を・・・
「ごめん、大丈夫?」
「あ、うん・・・。なんか、そこら中ぶつけたみたいだな・・・。」
病室のドアが開いた。
「千代田さん、いいですか?」
看護士の声だ。美園は慌てて、ベッドの隣にあった小さな椅子に腰掛けた。
「あら、お邪魔だった?」
「い、いえ。」
まるで見てたかのような看護士の表情に、美園は顔を真っ赤にした。
「ふふふ・・・。若いって言いわね。私ももう少し若かったらねぇ。」
いつまでも笑っている看護士を見て、美園は思った。
“若かったらなんだって言うのよ。”
ふくれる美園を見てから、看護士に聞いた。
「あの、何か用があったんじゃ?」
「そうよ。忘れるところだったわ。」
「それで何でしょう?」
美園も看護士の顔を見た。
「千代田さん、明日退院だって。信じられないって、先生驚いてたわよ。」
「そうなんですか、良かった。」
美園は喜んだ。いくら怪我が軽いとはいえ、電車に引かれてすぐに退院出来るとは思っていない。うれしさが溢れた。
「ありがとうございます。これで、この違和感ともおさらばかな?」
「違和感?」
違和感と聞いて聞き逃す訳にはいかない。看護士は問い質した。
「いや、なんでもないですよ。こっちの話です。」
「それで、“はい、そうですか”って済むと思う?」
看護士の顔を見れば、済まないのは明らかだ。
「わかりました。話しますよ。ほら、こんな擦り傷ぐらいしか、自分自身感じてないんです。それなのにMRIだとか、そんな大袈裟な事されて・・・。違和感を感じない方がどうかしてますよ。」
「あ、そう言う事か。」
「納得してもらえました?」
「納得、納得。ごめんね、驚かしちゃって。職業病だと思って許してあげて。」
「いや、意味ありげな言い方をして。こっちこそすみませんでした。」
翌日。病院を出てまず空を見上げた。眩しい太陽。流れる雲。この世界にいるのだ。それを実感した。
「あ、うん・・・。なんか、そこら中ぶつけたみたいだな・・・。」
病室のドアが開いた。
「千代田さん、いいですか?」
看護士の声だ。美園は慌てて、ベッドの隣にあった小さな椅子に腰掛けた。
「あら、お邪魔だった?」
「い、いえ。」
まるで見てたかのような看護士の表情に、美園は顔を真っ赤にした。
「ふふふ・・・。若いって言いわね。私ももう少し若かったらねぇ。」
いつまでも笑っている看護士を見て、美園は思った。
“若かったらなんだって言うのよ。”
ふくれる美園を見てから、看護士に聞いた。
「あの、何か用があったんじゃ?」
「そうよ。忘れるところだったわ。」
「それで何でしょう?」
美園も看護士の顔を見た。
「千代田さん、明日退院だって。信じられないって、先生驚いてたわよ。」
「そうなんですか、良かった。」
美園は喜んだ。いくら怪我が軽いとはいえ、電車に引かれてすぐに退院出来るとは思っていない。うれしさが溢れた。
「ありがとうございます。これで、この違和感ともおさらばかな?」
「違和感?」
違和感と聞いて聞き逃す訳にはいかない。看護士は問い質した。
「いや、なんでもないですよ。こっちの話です。」
「それで、“はい、そうですか”って済むと思う?」
看護士の顔を見れば、済まないのは明らかだ。
「わかりました。話しますよ。ほら、こんな擦り傷ぐらいしか、自分自身感じてないんです。それなのにMRIだとか、そんな大袈裟な事されて・・・。違和感を感じない方がどうかしてますよ。」
「あ、そう言う事か。」
「納得してもらえました?」
「納得、納得。ごめんね、驚かしちゃって。職業病だと思って許してあげて。」
「いや、意味ありげな言い方をして。こっちこそすみませんでした。」
翌日。病院を出てまず空を見上げた。眩しい太陽。流れる雲。この世界にいるのだ。それを実感した。