( 新撰組 * 恋情録 )

 「 光の加減だろ 」

 「 今が真夜中だって事忘れてません? 」



 しかし、総司の突っ込みは
 あまりにも鋭い。

 思えば得意なはずの話術も、
 こいつにだけはいつも通用しない。

 そんな事を思い出し、大きな溜め息と
 共に 俺は次の台詞を吐き出した。



 「 ‥俺がやんなきゃ誰がやんだよ?
  他の幹部だって同じ様に
  忙しいのに、任せてられっかよ 」



 すると総司は、さらりと
 とんでもない事を言ってのける。



 「 私が居るじゃないですか 」

 「 ‥は? 」



 何を言ってやがるこいつは。
 病人に病人の世話をさせるなんて、
 論外に決まってるだろ。



 「 ‥阿呆か。 」



 話にならねぇな、と首を横に振る。
 良いからもう出てけ、と続けようと
 総司を振り返ると、奴は少し
 拗ねたような顔で呟いた。



 「 生憎私、忙しくないんですよね‥ 」

 「 は? 」



 総司の真意が分からず、再び
 間の抜けた声が口から漏れる。



 「 心配症な誰かさんが一切仕事を
  させてくれないので、暇なんです 」

 「 ‥それがどうした 」

 「 だったら忙しい土方さんは、暇な
  幹部の私に看病を任せる、という
  のが、当然の流れじゃないですか? 」



 ‥まずい流れだ、と俺は唇を
 甘噛みした。

 しかし、このまま流されてしまう
 訳にもいかない。
 己にそう言い聞かせて、奴を
 睨みながらもう一度口を開く。
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