( 新撰組 * 恋情録 )
[ 土方side ]
舌がヒリヒリしやがる。
格好悪ィ。
( ‥一体、何してやがんだ俺は? )
井戸の水を啜り、軽い火傷を負った
舌を冷やしながら 幾度と無く
自問自答を繰り返す。
何を話してたのかは知らねぇ。
良く聞き取れ無かったが、斎藤の
言葉だか仕草だかに反応して
あいつが頬を染めたのが
無性に気に食わなかった。
苛々した。
俺だけがあいつを
真っ赤にしてぇと思った。
‥知ってる、この感情。
とっくに気付いてんだよ、俺は‥!
" 嫉妬 "
死ぬ程醜くて どうしようも無く
格好の付かねぇ感情が、
心の底で渦巻く。燻る。
苦しいまでの感情の波は
見事に紅く染まったあいつの顔を
見た途端、次第に引いて行った。
そして同時に、悟った。
俺があいつに そんな感情を抱く訳を。
正直認めたくねぇ。
俺がたったの一日足らずで、
17やそこらの餓鬼に
心を掴まれちまうなんてよ‥
「 はは‥っ 」
俺が漏らした渇いた笑いは
何度冷たい水を啜ろうと、
潤う事は無かった。
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