( 新撰組 * 恋情録 )

 もやもやした気分で朝食を終えたあと、
 あたしはなんとなく道場に来ていた。

 みんなの稽古を見てみたいっていうのと
 出来るなら竹刀に触れたいっていうのが
 大きな理由二つ。

 実はあたし、現代では中学校から
 剣道部に所属してて‥
 大会の結構いい所まで言ったことも
 あるんだよね。

 入った動機?

 もちろん政宗様の六爪流が
 格好良かったからに決まっt(強制終了

 ‥とにかく。

 続けて行くうちに剣道自体も
 好きになったから、この時代でも
 出来るならやっぱり続けたいって。

 そう思って来てみたは良いけど‥

 「 うわぁ‥ 」

 道場は既に、隊士さんたちで一杯。
 あたしが入り込む隙なんて
 無さそうだった。

 ( う―ん‥どうしよう‥ )

 困ったなぁ、と壁に寄り掛かり
 暫く様子を見ようとした時だった。

 「 あれ、凜咲さん? 」

 たまたま通り掛かった沖田さんが
 声を掛けてくれたのだ。

 「 どうしたんです?そんな所に
    立っていては、危ないですよ? 」

 「 沖田さん‥ 」

 実はかくかくしかじかで‥、と
 事情を話すと 沖田さんは暫く
 考え込んでから、

 「 そういうことなら、どうです?
     私と試合をしてみませんか? 」

 と、突拍子もないことを言い出した。

 「 ほぇえっ?! 」

 「 100年後の剣道っていうのが
    どんなものなのか、私も
          知りたいですし‥ 」

 そう言って沖田さんは微笑むけど‥

 ( いやいやいやいやむりむりむりむり!!
   それって下手したら、竹刀でも
       あたし死んじゃうよね?! )

 そんな動揺が顔に出ていたのか、
 沖田さんは

 「 大丈夫ですよ、きちんと
        手加減もしますから‥ 」

 と苦笑を零した。

 ( う―ん‥手加減してくれるって
  いうならなんとか大丈夫‥かな‥? )

 そんな訳で、あたしは沖田さんに
 試合の相手をしてもらうことに
 なったのだった。
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