( 新撰組 * 恋情録 )
「 礼儀正しい女性は、
嫌いじゃないですよ 」
――思考、停止。
「 ‥ですから、是非また試合を
しましょう、凜咲 」
艶っぽい微笑みでそう締めくくると
くるりと踵を返したその背中に
あたしは思考停止による一瞬の間を
挟んでから 慌てて声を投げた。
「 おき‥っ、総司!! 」
「 ‥はい? 」
振り返った彼は満面の笑み。
「 暇な時で良いから、その‥
剣術教えて下さいっ! 」
我ながら、随分無茶なお願い。
だけど、純粋に凄いって
思ったんだもん。
あんな凄いことができる総司に、
剣を教わってみたいなとも。
「 ‥いいですよ。凜咲は筋が良いから
特別です。それに、狙い通り私を
呼び捨てにしてくれましたし 」
人差し指を唇に添えて
片目を瞑る総司。
「 っ〜‥この腹黒! 」
「 褒め言葉ですか、それ 」
「 ちが―うっ! 」
剣術でも口喧嘩でも、
あたしは一生 総司に勝てそうにない。