( 新撰組 * 恋情録 )

 [ 土方side ]

 「 てめぇらは一体何を企んでやがる? 」

 「 ‥‥‥ 」

 梁から縄で逆さに吊され
 何度俺に殴られても
 古高俊太郎は口を割ろうとせず、
 沈黙を貫いていた。

 ( ちっ、中々しぶてぇな。仕方ねぇ‥ )

 俺は予め用意しておいた
 五寸釘を手に取った。
 先程凜咲に 「 何に使うのか 」 と
 尋ねられた代物だ。

 失神しかけている古高の顔に
 冷水を浴びせ、無理矢理意識を
 覚醒させる。

 そして俺は奴の足の甲に、
 躊躇い無く五寸釘を打ち込んだ。

 「 うぁぁぁぁぁあああ!! 」

 古高の悲痛な叫びが 部屋にこだまする。
 そう、俺が五寸釘等という物騒な物を
 持ち歩いていたのは、こいつの
 拷問に使う為。

 ( ‥あいつは知らなくて良いんだ )

 「 これでも言う気になんねぇか? 」

 「 くっ‥う‥ 」

 痛みに目を血走らせながらも
 やはり古高は頑なに発言を拒んだ。

 「 いい加減に吐きやがれ 」

 もう一度冷水を浴びせ掛けると、
 俺は蝋燭に火を点け、古高の
 足の裏から突き出ている五寸釘に
 それを立てた。

 「 ‥? 」

 初めは自分の足の裏に
 何が起きているのか分からず
 眉間に皺を寄せていた古高の表情が、
 やがて苦悶に歪む。

 「 あああああああああああああああ!! 」

 傷口に溶けた蝋が流れ込み、
 より一層の痛みを誘う。

 再び失神しかけた古高の顔に
 容赦無く冷水を浴びせ、俺はまた
 同じ問いを繰り返す。

 「 ‥これでも、か? 」

 「 ぅ‥っ、言う、から‥ 」

 古高の返事を聞き、俺は
 「 漸くか 」 と口角を吊り上げた。
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