( 新撰組 * 恋情録 )

 「 な‥っ 」

 古高達の計画を聞き終えた俺の額には
 じわりと嫌な汗が滲んでいた。

 ( そりゃ口を割らねぇ筈だ‥! )

 祇園祭の前の風の強い日を狙い
 京都御所に火を放ち、その混乱に
 乗じて中川宮朝彦親王を幽閉。
 一橋慶喜や会津の松平容保らを
 暗殺した後、孝明天皇を
 長州へ連れ去る‥

 それが計画の全貌だった。
 そして今夜も、その計画についての
 会合が行われる―‥

 ( 何としてでも阻止しねぇと‥! )

 「 おい‥‥、!! 」

 会合場所を問いただそうと
 視線を戻すと、古高は既に
 舌を噛み切って事切れていた。

 「 くそ‥っ! 」

 苛立ちをぶつけるように壁を叩いた後
 俺は隊士に召集を掛ける為、
 足早に拷問部屋を後にした。

            ・・→ 凜咲side
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